消費税における課税仕入れの用途区分について


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本ページでは、消費税における課税仕入れの用途区分について、その要点をまとめています。


課税資産の譲渡等にのみ要するもの

 

課税売上げと直接的な対応関係があったり、課税売上げを得るために直接必要である課税仕入れは、個別対応方式において、課税資産の譲渡等にのみ要するものに分類されます。

 

消費税法基本通達や質疑応答事例等では、次の例が挙げられています。

  • そのまま他に譲渡される課税資産
  • 課税資産の製造用にのみ消費し、又は使用される原材料、容器、包紙、機械及び装置、工具、器具、備品等
  • 課税資産に係る倉庫料、運送費、広告宣伝費、支払手数料又は支払加工賃等
  • 化粧品売り場にある陳列棚
  • 建設現場で支出する交際費
  • 課税資産の譲渡等のみを行っている相手方に対する歳暮や中元
  • 国外において行う資産の譲渡等のための課税仕入れ等
  • 課税の対象となる商品の製造に直接必要な原材料、製造機械のほか、事務用消耗品費、販売費のような間接経費の課税仕入れ
  • 自社ビルの建設費用(そのビルでは課税売上げに関する業務のみを行う予定)

その他の資産の譲渡等にのみ要するもの

 

非課税売上げと直接的な対応関係があったり、非課税売上げを得るために直接必要である課税仕入れは、個別対応方式において、その他の資産の譲渡等にのみ要するものに分類されます。

 

消費税法基本通達や質疑応答事例等では、次の例が挙げられています。

  • 借上社宅や自社所有社宅に係る修繕費(入居者から賃貸料を収受している場合)
  • 自社ビルの建設費用(そのビルでは非課税売上げに関する業務のみを行う予定)

課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの

 

会社の業務全般に関係する課税仕入れは、個別対応方式において、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに分類されます。

 

消費税法基本通達や質疑応答事例等では、次の例が挙げられています。

  • 総務、経理部門等における事務費など
  • 会社の業務全体に係るものとして使用される、資産の取得費用、消耗品費、電話料金、電気料金、ガス料金、水道料金等
  • 株券の発行に当たって印刷業者へ支払う印刷費や証券会社へ支払う引受手数料等のように、資産の譲渡等に該当しない取引(不課税取引)に要する課税仕入れ等
  • 借上社宅や自社所有社宅に係る修繕費(入居者から賃貸料を収受していない場合)
  • 課税資産の譲渡等に係るものかどうかが明確に判別できない課税仕入れ
  • 自社ビルの建設費用(そのビルでは課税売上げに関する業務と非課税売上げに関する業務の両方を行う予定)

事業部門ごとに区分する

 

「95%ルールの適用要件の見直しを踏まえた仕入控除税額の計算方法等に関するQ&A」では、事業部門ごとに区分する方法について、次のように記載されています。日常的な取引について事業部門や勘定科目ごとに用途区分を行うことは、効率的な方法の一つといえます。

 

事業部門ごとに業務内容が明確に区分されており、当該事業部門が課税資産の譲渡等のみを行う事業部門である場合には、その事業部門で行う課税仕入れ等について、個々の課税仕入れ等ごとに用途区分した結果と、事業部門ごとに用途区分した結果は同じになると考えられますので、このような場合には、事業部門ごとでの用途区分が認められます。

 

しかし、その事業部門で行う業務内容が事業年度の途中で変更されるなど、事業部門ごとでの用途区分の判定が、個々の課税仕入れ等について用途区分を行った結果と異なることとなる場合には、その用途区分は誤っているということになりますので、注意が必要です。

 

なお、上記のような考え方は、勘定科目ごとに用途区分を行う場合も同様です。

共通用の課税仕入れ等を合理的な基準で区分する

 

「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」に該当する課税仕入れ等であっても、合理的な基準により、「課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ等」と「その他の資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ等」とに区分して処理することが認められています(消費税法基本通達11-2-19より)。

 

合理的な基準の例 : 生産実績

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