本ページでは、所得税の確定申告で使える、災害減免法による軽減措置について、その要点をまとめています(2022年11月作成)。
災害減免法は、正式名称を"災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律"と言います。
その第1条で「震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害」を、軽減措置の対象になる災害としています。
また、所得税の個別通達(災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(所得税関係)の取扱方について(昭27・7直所1-101))では、対象になる災害は、天災だけではなく、火災等の人為的災害で被災者の意思によらないものも含むとしています。
つまり、失火や第三者による放火は対象になり、被災者自身による放火は対象外になります。
災害減免法による軽減措置の対象となるのは「住宅又は家財につき生じた損害金額(...)がその住宅又は家財の価額の50%以上」の場合です(災害減免法施行令第1条)。
つまり、軽減措置の適用を受けるには、住宅や家財の被害の程度が、被災直前の時価相当額の50%以上である必要があります。
この被害の程度の判定方法には、損害を受けた財産について個別に損失額を計算する方法の他、「被災した住宅、家財等の損失額の計算書」の"被害割合表"に当てはめて判定する方法があります(東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い(情報)の質疑応答編 第4 1-2より)。
住宅等が損壊したときの被害割合表は、次のとおりです。
この表は、住宅の主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)に損壊がある場合に使うことができます。
被害が半壊以上のケースで軽減措置の対象になり、一部破損のケースでは対象外になります。
市町村役場や消防署の発行する罹災証明書(り災証明書)には被害の程度が"全壊"、"半壊"等と記載されており、被害割合の判定の目安になります。
参考3:被害割合表(一部) | |||
被害区分 | 被害割合 | 摘要 | |
住宅 | 家財 | ||
全壊・流出・埋没・倒壊 | 100% | 100% | 被害住宅の残存部分に補修を加えても、再び住宅として使用できない場合 |
(倒壊に準ずるものを含む) | 住宅の主要構造部の被害額がその住宅の時価の50%以上であるか、損失部分の床面積がその住宅の総床面積の70%以上である場合 | ||
半壊 | 50% | 50% | 住宅の主要構造部の被害額がその住宅の時価の20%以上50%未満であるか、損失部分の床面積がその住宅の総床面積の20%以上70%未満で残存部分を補修すれば再び使用できる場合 |
一部破損 | 5% | 5% | 住宅の主要構造部の被害が半壊程度には達しないが、相当の復旧費を要する被害を受けた場合 |
住宅等が浸水したときの被害割合表は、次のとおりです。
浸水の被害を受けた高さで被害割合を判定します。
罹災証明書の被害の程度の欄に「床上○○cm浸水」のように具体的な高さが記載されているときは、その高さで判定をすることができます。
参考3:被害割合表(一部) | ||||
被害区分 | 被害割合 | 摘要 | ||
住宅 | 家財 | |||
床上1.5m以上 | 平屋 | 80% | 100% |
|
(65%) | (100%) | |||
2階建以上 | 55% | 85% | ||
(40%) | (70%) | |||
床上1m以上1.5m未満 | 平屋 | 75% | 100% | |
(60%) | (100%) | |||
2階建以上 | 50% | 85% | ||
(35%) | (70%) | |||
床上50㎝以上1m未満 | 平屋 | 60% | 90% | |
(45%) | (75%) | |||
2階建以上 | 45% | 70% | ||
(30%) | (55%) | |||
床上50㎝未満 | 平屋 | 40% | 55% | |
(25%) | (40%) | |||
2階建以上 | 35% | 40% | ||
(20%) | (25%) | |||
床下 | 15% | - | ||
(0%) |
確定申告をするときに次の書類が必要になります(東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い(情報)の質疑応答編 第9の2より)。
※罹災証明書の交付を受けているときは、その証明書も役に立ちます。
令和5年中に被災された会社員や年金受給者の方々に、所得税の災害に関する支援制度を受けていただくためのサービスを、料金35,000円にてご提供いたします。
詳しくは、eサービス <取得税の確定申告(災害支援)>をご覧ください。