本ページでは、令和6年分の給与所得者の扶養控除等申告書(以下「申告書」とします)の書き方等について、その要点をまとめています(2023年10月10日更新)。
国税庁のサイト内に申告書の記載例があります。参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/2024bun_02.pdf
あなたが次の全てに該当しているときは、申告書上段の欄(氏名、住所等の欄)を埋めるだけで完成します。
税務署長の欄には、勤務先の所在地を所管する税務署名を記入してください。税務署名がわからないときは、次のサイトで調べてください。
税務署の所在地などを知りたい方
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm
また、市区町村長の欄には、あなたの住所の市区町村名を記入してください。
あなたや家族の個人番号を記入する欄がありますが、記入しなくてもいい場合があります。記入が必要なのか、勤務先に事前に確認することをお勧めします。
あなたからみた世帯主の続柄を記入します。例えば、世帯主があなたの父親の場合、"父"と記入します。
あなたが複数の勤務先で仕事をしておらず、勤務先が一か所であるときは、空欄のままでOKです。
あなたの子供さんが継続して1年以上、海外で居住している場合は、「非居住者である親族」の欄の「16歳以上30歳未満又は70歳以上」にチェックマークを入れ、「生計を一にする事実」の欄に令和6年中に生活費として海外送金する金額の総額を、「住所又は居所」の欄に海外の居住地を記入してください。
その子供さんがあなたの親族であることを証明する書類(親族関係書類)、その子供さんに生活費を送金していることを証明する書類(送金関係書類)を、勤務先に提出する必要もあります。
あなたが障害者・寡婦(後述)・ひとり親(後述)・勤労学生のいずれかに該当する場合や、同一生計配偶者(後述)や扶養親族(後述)が障害者に該当する場合では、「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄への記入を忘れないよう気を付けてください。記入を忘れてしまったときは、年末調整の際に障害者控除等が加味されず、所得税や住民税の金額が高くなってしまいます。
平成21年1月2日以降に生まれた扶養親族については、所得税の扶養控除の対象にはなりません。ただ、住民税の非課税の判定等には影響し、その扶養親族がいる方がその判定等で有利になります。その扶養親族がいる場合は、申告書の「16歳未満の扶養親族」の欄に必ず記入しましょう。
次の全てに該当する配偶者やその他の親族がいるときに記入をしてください。住民税では、所得税と異なり、配偶者控除等の判定の際に退職所得の金額を含めないためです。
1. 令和6年中に退職金を受け取っていた。
2. 受け取った退職金は、いわゆる死亡退職金ではない。
3-1. 退職金を受け取ったのが配偶者の場合、配偶者はあなたと生計を一にしているとともに、令和6年の所得(退職所得を除く)の見積額が133万円以下である。
※配偶者の収入が給料のみの場合、年収が2,016,000円未満のときに所得は133万円以下になります。
3-2. 退職金を受け取ったのが配偶者以外の親族の場合、扶養親族(後述)に該当する。
令和6年の最初の給料の支払いを受ける日の前日までに、申告書を勤務先に提出することになっています(所得税法194条より)。
ただ、この申告書は、令和5年分の年末調整に影響することもありえますので、勤務先の定めた提出期限を守ってください。
例えば、勤務先に提出していた申告書に控除対象扶養親族(後述)として記入していた子がアルバイトから正社員に昇格し、その子の令和6年の年収が103万円を超えることになったような、当初の申告書の内容と実際の状況が異なることになった場合では、当初の申告書の記入内容を変更するか、新たに申告書を提出し直す必要があります。
申告書に記載された所得税の専門用語について解説します。あなたや家族に関係する用語がありましたら、確認してください。
次の3つの全ての条件を満たしている配偶者のことをいいます。
①配偶者が、給料を受け取る本人(以下「本人」とします)と、生計を一にしている。
②配偶者の令和6年の所得の見積金額が95万円以下である。
※配偶者の収入が給料のみの場合、年収150万円のときに所得が95万円になります。
③本人の令和6年の所得の見積金額が900万円以下である。
※本人の収入が給料のみの場合、次の4条件のいずれかに該当するときは年収1110万円、該当しないときは年収1095万円のときに所得が900万円になります。
1. 本人が特別障害者に該当する。
2. 平成14年1月2日以降に生まれていた扶養親族(後述)がいる。
3. 同一生計配偶者(後述)が特別障害者に該当する。
4. 扶養親族が特別障害者に該当する。
次の2つの条件を両方とも満たしている配偶者のことをいいます。
①配偶者が本人と生計を一にしている。
②配偶者の令和6年の所得の見積金額が48万円以下である。
※その配偶者の収入が給料のみの場合、年収103万円のときに所得が48万円になります。
配偶者以外の親族であり、次の2つの条件を両方とも満たしている人のことをいいます。
①親族が本人と生計を一にしている。
②親族の令和6年の所得の見積金額が48万円以下である。
※その親族の収入が給料のみの場合、年収103万円のときに所得が48万円になります。
扶養親族の内、平成21年1月1日以前に生まれていた人のことをいいます。
扶養親族の内、次の3つの全ての条件を満たしている人のことをいいます。
①親族が昭和30年1月1日以前に生まれていた。
②親族が本人と同居しているか、(本人の)配偶者と同居している。
③親族が本人の直系尊属(父母、祖父母等)であるか、(本人の)配偶者の直系尊属である。
※申告書の「老人扶養親族」の欄は、「同居老親等」と「その他」に区分されています。この「その他」は、昭和30年1月1日以前に生まれていた扶養親族の内、 同居老親等に該当しない人のことです。
扶養親族の内、平成14年1月2日から平成18年1月1日までに間に生まれていた人のことをいいます。
給料を受け取る本人が女性であり、かつ、次の4つの全ての条件を満たしている人のことをいいます。
①本人が、"夫と死別後に再婚していない"か、"夫と離婚後に再婚せず、かつ、扶養親族がいる"。
②本人に内縁の夫がいない。
③本人がひとり親(後述)に該当しない。
④本人の令和6年の所得の見積金額が500万円以下である。
※本人の収入が給料のみの場合、年収6,777,778円のときに所得が500万円になります。
次の4つの全ての条件を満たしている人のことをいいます。
①本人に生計を一にしている子がおり、その子の令和6年の所得の見積金額が48万円以下である。
※その子の収入が給料のみの場合、年収103万円のときに所得が48万円になります。
②本人は現在、独身である。
③本人に内縁の配偶者がいない。
④本人の令和6年の所得の見積金額が500万円以下である。
※本人の収入が給料のみの場合、年収6,777,778円のときに所得が500万円になります。
※あなたが寡婦とひとり親の諸条件のどちらも満たしている場合、どちらかを選択することになります。寡婦控除が27万円、ひとり親控除が35万円であることから、ひとり親の方を選択した方が節税になります。
"生計を一にしている"は、抽象的な表現です。次のようなケースが例示されており、あなたと家族との関係が同一生計であるのか、別生計であるのかを判断することになります(所得税基本通達2-47より)。
※互いに独立した生活を営んでいる場合は、別生計になります。