相続土地国庫帰属法

「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(相続土地国庫帰属法)」が、令和3年4月に創設されました。土地の所有者が、相続等により取得した土地を国に引き取ってもらう制度です。

 

要点は次の通りです。

 

・相続登記がされていない等の理由により現時点における所有者を探し出すことが困難な土地(所有者不明土地)が増え、管理不全により近隣住民に迷惑をかけたり、土地の利活用が阻害される問題が全国各地で生じています。この制度は、所有者不明土地の増加を抑えることを目的として創設されました。

 

・所有者がその土地の所有権を国に渡すための申請を行い、国が承認するか否かを判断します。

 

・法律の中でこの制度の対象とならない土地が記載されており、建物の建っている土地境界の明らかでない土地崖のある土地第三者に賃貸している土地等は、承認されないことになっています。

 

・申請をする際に所定の手数料がかかる他、承認された後に、国有地の標準的な管理費用の10年分の金額を参考に算定された負担金の納付を求められます。負担金の金額が気になるところですが、法務省の関連資料によると、200㎡の国有地(宅地)の10年分の管理費用(柵・看板設置費用、草刈・巡回費用)は約80万円とのことです。

 

 

役場に山林を寄付しようとしたら断られた、という話をたまに聞きます。

 

森林はこの制度の対象になりますが、"土地の通常の管理、又は処分を阻害する樹木が生えている土地"については対象外とされます。つまり、国から通常の管理等を阻害しない森林と判断された土地は引き取ってもらえ、阻害する森林と判断された土地は引き取ってもらえないことになります。役場で断られた山林が引き取りの対象となるのかは、申請された山林ごとに個別に判断されることになると思います。

 

数年以内にスタートするこの制度が今後普及していくのかどうかは、引き取りの対象が幅広く設定されること、負担金の金額がリーズナブルであること、の2点にかかっているのではないでしょうか。