事業所税


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本ページでは、事業所税について、その要点をまとめています。


定義

 

事業所税は地方税の一種です。都市環境の整備・改善に関する事業に要する費用に充てることを目的としています。

 

この税金のユニークなところは、全国すべての市町村役場で課税されているのではなく、特定の市に限って課税されていることです(地方税法第701条の31第1項第一号より)。

 

一宮市役所の下記サイトによると、愛知県内で事業所税が課税される市町村役場は、名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、春日井市、豊田市の6市だけです。

 

全国の事業所税の課税団体一覧

https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/zaimu/shiminzei/zeikin/1010106/1000957.html

 

事業所税の課税される市内に事業所等を有し、その市内にある事業所等の広さが一定規模を超えるか、その市内にある事業所等で勤務をする従業者数が一定規模を超えるときは、事業所税の申告と納付を行うことが求められます。

 

なお、上記の事業所等は、建物を自社所有している場合に限定されていません。建物を賃借している場合も含まれます。

損金の額に算入される時期

 

事業所税は、事業税と同様に、事業所税の申告書を提出した事業年度において、損金の額に算入します(法人税法基本通達9-5-1(1)より)。

 

事業所税の申告期限は、事業年度終了の日から2ケ月以内です。納付期限も同じです(地方税法第701条の46第1項より)。

 

通常、事業所税の申告を行った事業年度中に納付も行いますので、納付をした事業年度において法人税上の経費になります。

事業所税の計算式

 

①資産割額=事業所等の床面積(㎡)×600円

 

※床面積は小数点第2位未満を切り捨てます(1000.1234㎡→1000.12㎡)。

 

※床面積が免税点以下であるときは、資産割額は0円になります。

 

②従業者割額=従業者の給与総額×0.25%

 

※従業者の人数が免税点以下であるときは、従業者割額は0円になります。

 

③事業所税額=資産割額+従業者割額(百円未満の端数切捨て)

事業所等の床面積

 

資産割額の計算式で登場する「事業所等の床面積」は、事業年度の末日現在における床面積です。

 

ただし、事業年度の中途において、事業所等が新設されたり廃止されていたときは、次のように床面積の調整をした上で資産割額を計算します(地方税法第701条の40第2項より)。

 

【事業所等を事業年度の中途で新設した場合】

新設した事業所等の床面積×新設の日の属する月の翌月から期末までの月数÷事業年度の月数

 

【事業所等を事業年度の中途で廃止した場合】

廃止した事業所等の床面積×期首から廃止の日の属する月までの月数÷事業年度の月数

 

【事業年度の中途で新設した事業所等を期末までに廃止した場合】

廃止した事業所等の床面積×新設の日の属する月の翌月から廃止の日の属する月までの月数÷事業年度の月数

 

※上記の調整で1月に満たない端数が生じたときは、その端数を1月として計算します。

 

※事業所等の新設・廃止があったときは、事業所等のある市に対し、新設・廃止した日から30日以内に、所定の異動申告書を提出する必要があります(地方税法第701条の52第1項より)。

資産割の免税点

 

事業所等の床面積が1000㎡以下であるときは、資産割は課税されません。

 

※事業年度の末日の現況により判定します。事業年度の中途で廃止した事業所等の床面積は含めません。また、事業年度の中途で新設した事業所等であっても、床面積の調整は行わないで判定します。 

 

※免税点の判定は、非課税となる床面積を除いた床面積で行います。

 

※事業所税は、各市単位で申告・納付をする税金です。事業所税の課税される複数の市に事業所等を有する企業であっても、各市単位でそれぞれ免税判定を行い、他市の床面積は考慮する必要はありません。

従業者割の免税点

 

従業者の人数が100人以下であるときは、従業者割は課税されません。

 

※事業年度の末日の現況により判定します。

 

※免税点の判定は、障害者や年齢65歳以上の従業員等を除いた人数で行います。

 

※事業所税は、各市単位で申告・納付をする税金です。事業所税の課税される複数の市に事業所等を有する企業であっても、各市単位でそれぞれ免税判定を行い、他市の従業者数は考慮する必要はありません。

特殊関係者が存在する場合

 

事業所等と同じ建物内に、地方税法第701条の32第2項に規定する特殊関係者の事業所等があるときは、免税判定は次のように行います(地方税法施行令第56条の75第2項より)。

 

【資産割の免税判定】

特殊関係者の同じ建物内の事業所等の床面積を合算した上で、1000㎡以下であるかを判定します。

 

【従業者割の免税判定】

特殊関係者の同じ建物内の事業所等の従業者数を合算した上で、100人以下であるかを判定します。

 

※特殊関係者の例:子会社(子会社が同族会社に該当する場合に限る)、兄弟会社(自社・兄弟会社が同族会社に該当する場合に限る)、兄弟会社の子会社(自社・兄弟会社・兄弟会社の子会社が同族会社に該当する場合に限る)

 

一方、親会社や孫会社は、特殊関係者に該当しません。

 

※事業所税の算定の際は、その特殊関係者の同じ建物内の事業所等の床面積等を考慮せず、自社単独の床面積等で税額を算定します(地方税法施行令第56条の51第2項より)。