適格請求書の宛名が自社ではないときの対処法


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自社の支払うべき経費を他社に立て替えてもらった場合、適格請求書の宛名は他社になります。本ページでは、適格請求書の宛名が自社ではないケースにおいて、仕入税額控除の適用を適切に受けるための対処法について、その要点をまとめています(2022年11月更新)。


仕入税額控除の保存要件

 

国内において課税仕入れに該当する取引を行い、その取引について仕入税額控除の適用を受けるには、その取引に関する一定の事項を記載した帳簿を保存するとともに、その取引に関する適格請求書等を保存することが求められます。

 

(改正後の)消費税法第57条の4第1項より、適格請求書には、その請求書の交付を受ける事業者(取引の相手先)についても記載されている必要があります。このことから、宛名が自社ではない適格請求書をそのまま保存する方法では、仕入税額控除の保存要件を満たせないことになります。

立替金の精算書

 

適格請求書の宛名が自社ではないケースの対処法は、"消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達(いわゆるインボイス通達)"の4-2や、"消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A"の問78で触れられています。

 

A社(仕入先)

B社(立て替えをした会社)

 

 

C社(当社)
適格請求書をB社に発行する。 

立替金精算書適格請求書の

コピーをC社に渡す。

また、適格請求書の原本

B社で代わりに保存する。 

立替金精算書適格請求書の

コピーを自社で保存する。

 

上記例の通り、B社に立替金精算書を作ってもらってA社からの仕入れがC社の経費であることを明確にしておくことにより、C社において仕入税額控除の保存要件を満たすことができます。

適格請求書の枚数が多いとき

 

上述のインボイス通達やQ&Aでは、適格請求書の枚数が多く、立て替えをした会社がそのコピーを準備することが困難であるケースについて、ある措置を講ずることを条件に、立替金精算書のみの保存を認めています。

 

この措置とは、当社(C社)が、仕入先(A社)が適格請求書発行事業者であること等を容易に確認することができるようにすることです。

 

具体的には、次のような措置が必要になります。

 

立替金精算書の中で、各仕入先の名称と登録番号がそれぞれ記載されており、かつ、各仕入先への支払対価や消費税額が税率毎に区分されている

 

立て替えてもらうことが継続して続く場合、契約書等を別途作成し、その中で仕入先が適格請求書発行事業者であること等を確認することができるようにしている

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