会社の購入した弁当を食べたときの経済的利益


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本ページでは、従業員等が会社の購入した弁当を食べたときに、課税対象となる経済的利益について、その要点をまとめています。


所得税の取り扱い

 

会社が弁当屋から昼食用の弁当を購入し、従業員や役員がその弁当を食べたときは、所得税法第36条第1項のかっこ書きから、通常の給料等と同様に、会社の負担した金額が"経済的利益"として所得税が課税されることになります。

 

ただし、給料等から天引きをする方法等により、従業員等が弁当代の一部を負担する場合は、所得税基本通達36-38の2が適用されて所得税が課税されなくなるときがあります。

非課税上限の算定

 

弁当代の負担額が次の計算式で算定した金額以上であれば、その経済的利益は非課税になります。

 

〔設例〕

税込単価500円の弁当を前月中に20個食べたケース

  1. 500円×20個×50%=5,000円
  2. 500円×20個-3,790円=6,210円
  3. 1<2 ∴6,210円

→ 今月支給する給料等から6,210円以上を天引きしておけば、経済的利益を非課税にできます。

 

※社内の食堂で食事を提供する場合、消費税は標準税率10%になるため、下線の金額を3,860円に変更して非課税上限を算定します。

社会保険・雇用保険の取扱い

 

社会保険の場合、"現物給与価額"の3分の2以上を個人が負担すれば、現物による食事の供与はないものとされます。

 

"現物給与価額"は、全国現物給与価額一覧表の中で定められた食事の額を基に算定します。

 

〔設例〕

税込単価500円の弁当を前月中に20個食べたケース(愛知県内にある会社の場合)

 

1人1日当たりの昼食のみの額=260円

 

260円×20個×2/3=3,466円(円未満切捨)

 

→ 今月支給する給料から3,466円以上を天引きしておけば、現物による食事の供与はないものとされます。

 

 

雇用保険の場合、会社の実際に支払った弁当代の3分の1を個人が負担すれば、現物給与にはならないとされます。

 

〔設例〕

税込単価500円の弁当を前月中に20個食べたケース

 

500円×20個×1/3=3,333円(円未満切捨)

 

→ 今月支給する給料から3,333円以上を天引きしておけば、現物給与にはなりません。

関連する法令

 

所得税法第36条(収入金額)第1項

 

その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもって収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。

 

 

所得税基本通達36-38(食事の評価)

 

使用者が役員又は使用人に対し支給する食事については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額により評価する。(昭50直法6-4、直所3-8改正)

 

(1)使用者が調理して支給する食事 その食事の材料等に要する直接費の額に相当する金額

 

(2)使用者が購入して支給する食事 その食事の購入価額に相当する金額

 

 

所得税基本通達36-38の2(食事の支給による経済的利益はないものとする場合)

 

使用者が役員又は使用人に対し支給した食事(36-24の食事を除く。)につき当該役員又は使用人から実際に徴収している対価の額が、36-38により評価した当該食事の価額の50%相当額以上である場合には、当該役員又は使用人が食事の支給により受ける経済的利益はないものとする。ただし、当該食事の価額からその実際に徴収している対価の額を控除した残額が月額3,500円を超えるときは、この限りでない。(昭50直法6-4、直所3-8追加、昭59直法6-4、直所3-7改正)

 

※すべての従業員を対象者とすることは、特に求められていません。

 

 

平成元年直法6-1(給与所得等に対する源泉徴収)

 

所得税法第183条の規定が適用される給与等が物品又は用役などにより支払われる場合において、当該物品又は用役などの価額に消費税及び地方消費税の額が含まれているときは、当該消費税及び地方消費税の額を含めた金額が給与等の金額となる。

 

(注)上記の取扱いは、所得税法第28条に規定する給与等以外の所得(下記「3」に該当するものを除く。)につき、所得税の源泉徴収が行われる場合にも適用する。

 

 

平成元年直法6-1(非課税限度額の判定)

 

所得税基本通達36-22((課税しない経済的利益・・・・・・創業記念品等))、36-38の2((食事の支給による経済的利益はないものとする場合))に定める非課税限度額の適用に当たっては、当該経済的利益につき、所得税法等に定める所定の評価方法により評価を行った金額から、消費税及び地方消費税の額を除いた金額をもって、当該通達に定める非課税限度額を超えるかどうかの判定を行うこととする。

 

また、昭和59年7月26日付直法6-5「深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭に対する所得税の取扱いについて」通達に定める非課税限度額の適用についても、上記に準じて取り扱うこととする。

 

(注)上記の「所得税法等に定める所定の評価方法により評価を行った金額から、消費税及び地方消費税の額を除いた金額」に10円未満の端数が生じた場合には、これを切り捨てるものとする。

 

 

全国現物給与価額一覧表(現物給与の価額 Q&A)

 

Q10:食事の現物給与価額について、給与から食事代を徴収(負担)している場合は、どのように計算するのか?

 

A:現物給与価額の3分の2以上の価額を食事代として徴収(負担)している場合は、現物による食事の供与はないものとして取り扱います。

 

※上記の現物給与価額は、全国現物給与価額一覧表に定められた金額を基に算定します。

 

 

雇用保険に関する業務取扱要領

 

50403(3) 賃金の範囲に算入される現物給与(一部抜粋)

 

現物給与について代金を徴取するものは、原則として賃金とはならないが、当該徴収金額が実際費用の3分の1を下回っている場合は、実際費用の3分の1に相当する額と徴収金額との差額部分は、賃金として取り扱う。実際費用の3分の1を上回る代金を徴収するものは現物給与とはならない。

 

※雇用保険は、社会保険と異なり、会社の実際に支払った弁当代を基に、現物給与になるのか判定をします。