特定口座年間取引報告書に基づく確定申告の要点


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本ページでは、特定口座年間取引報告書に記載されている内容に基づいて確定申告を行う際の要点についてまとめています。


特定口座における所得の分類

株式の配当、株式投資信託の収益分配

 

第一表(総合課税)の「配当」か、第三表(分離課税)の「上場株式等の配当等」のどちらかを選択します。

 

※取引報告書内の「特定上場株式等の配当等」の欄に記載されています。

 

※配当や収益分配の内容を個別に精査し、配当控除の適用を受けることができるのか確認をします。その上で、総合課税と申告分離課税のどちらで申告をした方が有利になるのか判断します。

 

※総合課税にするか申告分離課税にするかは、その年中の配当等全体で判断します。配当等の一部を総合課税、残りを申告分離課税にすることはできません(租税特別措置法第8条の4第2項より)。

 

公社債の利子、公社債投資信託の収益分配

 

第三表(分離課税)の「上場株式等の配当等」に該当します。

 

※取引報告書内の「上記以外のもの」の欄に記載されています。

 

株式の譲渡

 

第三表(分離課税)の「上場株式等の譲渡」に該当します。

上場株式配当等の支払通知書

 

特定口座で受け取った配当等は、取引報告書内の配当等の欄に記載され、支払通知書には記載されません。

 

一方、特定口座で受け取らなかった配当等は、取引報告書に記載されず、支払通知書に記載されます。

証券会社による自動通算

 

取引報告書内の「勘定の種類」の中で"配当等"に〇が付いている場合、その口座を管理する証券会社は、売却損と配当等について、源泉徴収税額の通算を行います。

 

※証券会社による通算は同じ年に生じた売却損と配当等についてのみ行われ、生じた年が異なる場合は行われません。

 

※支払通知書に記載されている配当等については、証券会社による自動通算は行われません。

年間取引報告書に配当所得等の金額と譲渡所得の金額の両方が記載されているケース

譲渡所得の金額がプラスであったとき

 

①配当所得等と譲渡所得の両方を申告書に書く方法、②両方とも申告書に書かない方法の他、③配当所得等のみを書く方法、④譲渡所得のみを書く方法の、いずれかを選択することができます。

譲渡所得の金額がマイナスであったとき

 

①配当所得等と譲渡所得の両方を申告書に書く方法、②両方とも申告書に書かない方法の他、③配当所得等のみを書く方法の、いずれかを選択することができます。

 

譲渡損になった年は、譲渡所得のみを書くことはできません。

 

※③の場合、総合課税を選択して配当控除の適用を受けることもできます。

損益通算のできる組み合わせ

 

上場株式等の譲渡損 ⇔ 上場株式等の譲渡益

 

上場株式等の譲渡損 ⇔ 上場株式等の配当等(公社債の利子等も)

損益通算のできない組み合わせ

 

上場株式等の譲渡損益 ⇔ 一般株式等の譲渡損益

 

上場株式等の譲渡損 ⇔ 総合課税の各種所得

 

総合課税の純損失 ⇔ 上場株式等の譲渡益

 

総合課税の純損失 ⇔ 上場株式等の配当等(公社債の利子等も)

所得控除

 

上場株式等の譲渡益、上場株式等の配当等(公社債の利子等も)とも、所得控除の金額を控除することは可能です。

外国税額控除

 

外国株式の配当金に対して外国所得税が課税されていたときは、確定申告書に"外国税額控除に関する明細書"を添付して、外国税額控除の適用を受けます。

医療費の自己負担割合への影響

 

申告をする人が70歳以上である場合では、上場株式等の配当所得や譲渡所得を確定申告書に記載することによる、医療費の自己負担割合への影響についても、検討を行います。

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