租税特別措置法第70条の3


第1項

 

平成15年1月1日から令和5年12月31日までの間にその年1月1日において60歳未満の者からの贈与により住宅取得等資金の取得をした特定受贈者が、次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該特定受贈者については、相続税法第21条の9の規定(相続時精算課税の選択)を準用する。

 

新築等の場合

一 特定受贈者が贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までに当該住宅取得等資金の全額を住宅用家屋の新築若しくは建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得又はこれらの住宅用家屋の新築若しくは取得とともにするその敷地の用に供されている土地若しくは土地の上に存する権利(以下第3項までにおいて「土地等」という。)の取得(当該住宅用家屋の新築に先行してするその敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含む。同項第五号イにおいて同じ。)のための対価に充てて当該住宅用家屋の新築(新築に準ずる状態として財務省令で定めるものを含む。以下この号及び第8項から第11項までにおいて同じ。)をした場合又は当該建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得をした場合において、同日までに新築若しくは取得をしたこれらの住宅用家屋を当該特定受贈者の居住の用に供したとき、又は新築若しくは取得をしたこれらの住宅用家屋を同日後遅滞なく当該特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれるとき。

 

中古住宅の取得の場合

二 特定受贈者が贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までに当該住宅取得等資金の全額を既存住宅用家屋の取得又は当該既存住宅用家屋の取得とともにするその敷地の用に供されている土地等の取得のための対価に充てて当該既存住宅用家屋の取得をした場合において、同日までに当該既存住宅用家屋を当該特定受贈者の居住の用に供したとき、又は当該既存住宅用家屋を同日後遅滞なく当該特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれるとき。

 

増改築等の場合

三 特定受贈者が贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までに当該住宅取得等資金の全額を当該特定受贈者が居住の用に供している住宅用の家屋について行う増改築等又は当該家屋についての当該増改築等とともにするその敷地の用に供されることとなる土地等の取得の対価に充てて当該住宅用の家屋について当該増改築等(増改築等の完了に準ずる状態として財務省令で定めるものを含む。以下この号、第8項第三号及び第10項第三号において同じ。)をした場合において、同日までに増改築等をした当該住宅用の家屋を当該特定受贈者の居住の用に供したとき、又は増改築等をした当該住宅用の家屋を同日後遅滞なく当該特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれるとき。

 

→ この特例の趣旨は、住宅取得等資金の贈与に限り、贈与者の年齢が60歳以上でなくても、相続時精算課税の適用を認めるというものです。

第2項

 

前項において準用する相続税法第21条の9第2項の届出書を提出した者については同条第3項の規定の適用を受ける財産を取得した同条第5項に規定する相続時精算課税適用者と、住宅取得等資金の贈与をした者については同条第3項の規定の適用を受ける財産の贈与をした同条第5項に規定する特定贈与者とそれぞれみなして、同法その他相続税又は贈与税に関する法令の規定を適用する。

第3項 用語の定義

 

この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 

一 特定受贈者

次に掲げる要件を満たすものをいう。

 

イ 相続税法第1条の4第1項第一号又は第二号の規定に該当する個人であること。

 

ロ 住宅取得等資金の贈与をした者の直系卑属である推定相続人(孫を含む。)であること。

 

ハ 住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の1月1日において18歳以上の者であること。

 

二 住宅用家屋

住宅用の家屋で政令で定めるものをいう。

 

三 既存住宅用家屋

建築後使用されたことのある住宅用家屋(耐震基準(地震に対する安全性に係る規定又は基準として政令で定めるものをいう。第7項において同じ。)に適合するものに限る。)で政令で定めるものをいう。

 

四 増改築等

特定受贈者が所有している家屋につき行う増築、改築その他の政令で定める工事(当該工事と併せて行う当該家屋と一体となって効用を果たす設備の取替え又は取付けに係る工事を含む。)で次に掲げる要件を満たすものをいう。

 

イ 当該工事に要した費用の額が100万円以上であること。

 

ロ 当該工事をした家屋が特定受贈者が主としてその居住の用に供すると認められるものであること。

 

ハ その他政令で定める要件

 

五 住宅取得等資金

次のいずれかに掲げる新築、取得又は増改築等(特定受贈者の配偶者その他の特定受贈者と特別の関係がある者として政令で定める者との請負契約その他の契約に基づき新築若しくは増改築等をする場合又は当該政令で定める者から取得をする場合を除く。)の対価に充てるための金銭をいう。

 

イ 特定受贈者による住宅用家屋の新築又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得(これらの住宅用家屋の新築又は取得とともにするその敷地の用に供されている土地等の取得を含む。)

 

ロ 特定受贈者による既存住宅用家屋の取得(当該既存住宅用家屋の取得とともにするその敷地の用に供されている土地等の取得を含む。)

 

ハ 特定受贈者が所有している家屋につき行う増改築等(当該家屋についての当該増改築等とともにするその敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含む。)

第7項 要耐震改修住宅用家屋

 

60歳未満の者からの贈与により住宅取得等資金の取得をした特定受贈者が、当該贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日(以下この項において「取得期限」という。)までに当該住宅取得等資金の全額を建築後使用されたことのある住宅用家屋(耐震基準に適合するもの以外のものに限る。)で政令で定めるもの(以下この項において「要耐震改修住宅用家屋」という。)の取得のための対価に充てて当該要耐震改修住宅用家屋の取得をした場合において、当該要耐震改修住宅用家屋の取得の日までに同日以後当該要耐震改修住宅用家屋の耐震改修(地震に対する安全性の向上を目的とした増築、改築、修繕又は模様替をいう。以下この項において同じ。)を行うことにつき建築物の耐震改修の促進に関する法律第17条第1項の申請その他財務省令で定める手続をし、かつ、取得期限までに当該耐震改修により当該要耐震改修住宅用家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき財務省令で定めるところにより証明がされたときは、当該要耐震改修住宅用家屋の取得は既存住宅用家屋の取得と、当該要耐震改修住宅用家屋は既存住宅用家屋とそれぞれみなして、第1項の規定を適用することができる。

第12項 申告要件

 

第1項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする者の相続税法第28条(贈与税の期限内申告)の規定による申告書に同項の規定の適用を受けようとする旨を記載し、同項の規定による計算の明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。

第13項

 

第4項、第7項又は前項に定めるもののほか、第1項及び第8項から第11項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

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