電子帳簿保存法(売上請求書)


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本ページでは、売上請求書等の保存方法等がどのように変わるのかについて、その要点をまとめています(2023年1月更新)。


何が変わるのか

 

自社で作成した売上請求書・領収書・見積書・納品書・注文書の控え、決算報告書や棚卸表等の書類は、法人税法等の規定により、原則として、約7年間保存しなければなりません。

 

その保存方法が、令和4年以降は、紙ベースで保存する方法の他、PDF等の電子データで保存することが認められることになりました。このPDF等で保存された書類のことを電子書類といいます。

 

※正確には令和3年以前も電子書類は認められていましたが、税務署から事前に承認を受ける必要がありました。令和4年以降はこの承認手続きが不要になり、本制度を利用しやすくなった訳です。

 

※PDF等の保存場所は、パソコンのハードディスク、CD、DVD、USBメモリ、クラウド等、様々な場所が認められています。ただし、後述の理由により、税務調査時にすぐに取り出すことのできる場所である必要はあります。

 

紙に印刷した書類と電子書類のメリット、デメリットを比較します。

 

書類の種類 メリット デメリット
紙に印刷した書類 

紙の方が安心できる人にとっては

メリットがある

①保管するのが大変

②印刷の手間がかかる

電子書類

①保管するのが楽

②印刷の手間がかからない

手軽な電子データであるため、

誤って削除したり、無くしやすい

電子書類にできる例、できない例

 

【電子書類にできる例】

 

エクセルやワード等のWindows標準ソフトで作成した売上請求書の控え

 

市販されている販売管理ソフトで作成した売上請求書の控え

 

Windows標準ソフト等で作成した売上請求書に会社印を押した上で取引先に送った場合の、その売上請求書(印無し)の控え

 

 

【電子書類にできない例】

 

手書きで作成した売上領収証の控え

 

市販されている販売管理ソフトで作成した売上請求書に、手書きで新たな情報を加筆した上で、取引先に渡した場合の、その売上請求書の控え(ただし、スキャナ保存の方ではOK)

 

※全ての書類を電子データで保存する方法の他、一部の書類を紙で保存し、その他の書類を電子データで保存する方法も認められます(電子帳簿保存法取扱通達解説4-2より)。

電子書類にするための要件

 

市販の販売管理ソフトを使用している法人の場合、次の全要件を満たしている必要があります。ハードルは低く、どの法人も容易に満たすことができると思います。

 

販売管理ソフトの操作説明書を会社に置いておき、税務調査のときに担当者にすぐに渡せるようにしておくこと

 

「事務手続を明らかにした書類」を会社に置いておき、税務調査のときに担当者にすぐに渡せるようにしておくこと

 

税務調査のときに、担当者が書類の内容を閲覧したり、印刷したりすることができるよう、社内にパソコン、モニター、プリンター等を備え付けておくこと。また、担当者に電子書類を容易に渡せるようにしておくこと

過去に作成していた売上請求書等

 

改正法の附則第82条2において、令和4年1月1日以降に保存する書類について適用するとされています。

 

・売上請求書のような取引先に渡すことを前提とした書類については、令和4年1月1日以降に取引先に渡した書類から適用できます。例えば、当月分の売上請求書を翌月中に取引先に渡している場合、令和3年12月分の売上請求書の控えから電子データで保管することができることになります。

 

※事業年度単位で切り替えることは要求されていません。例えば、3月決算法人の令和4年3月期の場合、令和3年4月分から11月分までの売上請求書(控)を紙ベースで保存し、令和3年12月分から令和4年3月分までの売上請求書(控)を電子データで保存することも認められます。

 

・決算報告書のような書類については、 令和4年1月1日以降に決算手続きが完了した書類から適用できることになります。

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