評価方式の判定


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本ページでは、取引相場のない株式等を評価する際に、原則的評価方式と配当還元方式のどちらで評価するのかを判定する方法について、その要点をまとめています(2022年11月更新)。


配当還元方式のケース

 

配当還元方式は次のいずれかのケースに適用され、原則的評価方式はその他のケースに適用されます(財産評価基本通達188より)。

 

A. 評価会社に同族株主は存在し、相続人自身は同族株主ではないケース

 

B. 評価会社に同族株主は存在せず、相続人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその評価会社の議決権総数の15%未満であるケース

 

C. 評価会社に中心的な同族株主は存在し、相続人自身は同族株主ではあるものの中心的な同族株主ではなく、かつ、その相続人の議決権の数がその評価会社の議決権総数の5%未満であり、さらに、その相続人は評価会社の役員ではないケース

 

D. 評価会社に同族株主は存在しないものの中心的な株主は存在しており、相続人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその評価会社の議決権総数の15%以上であり、かつ、その相続人自身の議決権の数がその評価会社の議決権総数の5%未満であり、さらに、その相続人は評価会社の役員ではないケース

判定のタイミング

 

上記の4ケースに該当するかどうかの判定は、議決権割合とその他で次のように異なります。

議決権割合の判定

 

上記の4ケースでは、5%、15%を分岐点とした割合の判定をしますが、いずれも、相続人が株式を実際に取得した直後の割合によります。

 

評価会社の株主が、同族株主、中心的な同族株主、中心的な株主のどれかに該当するかの判定では、10%、15%、25%、30%、50%が分岐点になりますが、この判定のときも、相続人が株式を実際に取得した直後の割合によります。

その他の判定

 

議決権割合以外の次のような判定では、いずれも、課税時期(被相続人の亡くなった日)現在の状況によります。

  • 評価会社に同族株主、中心的な同族株主、中心的な株主は存在していたのかどうか
  • 相続人は、同族株主、中心的な同族株主に該当していたのかどうか
  • 相続人の同族関係者は、誰が該当するのか

相続・贈与以外の場合

 

取引相場のない株式等が個人から法人に譲渡されたケースにおいて、所得税法第59条(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)の"その時における価額に相当する金額"を算定するときは、議決権割合の判定は、相続や贈与のケースと異なり、譲渡をした個人が株式等を譲渡する直前の割合によります。

 

相続税や贈与税は、相続等により財産を取得した者に対し、取得した財産の価額を課税価格として課されるものであることから、株式を取得した株主の会社への支配力の程度に応じた評価方法を用いるべきと考えられています。

 

他方、譲渡所得に対する所得税の課税は、譲渡資産の値上がりによる利益が対象になるため、購入した法人の評価会社への支配力の程度ではなく、譲渡した個人の評価会社への支配力の程度に応じた評価方法を用いるべきと考えられています(最高裁の判例(平成30(行ヒ)422)より)。

 

各税金の課税の目的や対象の違いが、議決権割合の判定時期に影響を与えています。

評価会社の役員

 

上記のケースCとケースDで登場する"評価会社の役員"には、社長、理事長、代表取締役、代表執行役、代表理事、清算人、副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員、取締役(指名委員会等設置会社の取締役及び監査等委員である取締役に限る。)、会計参与、監査役、監事が該当します。

 

その他の肩書の役員は、該当しません。

 

被相続人の亡くなった日現在では役員になっていなかったが、相続税の申告期限までに役員になった人も含まれます。

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