1株当たりの純資産価額の計算


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本ページでは、原則的評価方式における純資産価額の計算方法について、その要点をまとめています(2022年11月更新)。

 

※類似業種比準価額の計算式に登場する"評価会社の1株当たりの純資産価額"については、別ページ(類似業種比準価額)をご覧ください。


計算式

 

1株当たりの純資産価額の計算式は、次の通りです。

  1. 相続税評価額による純資産価額=各資産の相続税評価額の合計-各負債の合計
  2. 帳簿価額による純資産価額=各資産の帳簿価額の合計-各負債の合計(マイナスの場合は0円)
  3. 評価差額=1-2(マイナスの場合は0円)
  4. 評価差額に対する法人税額等の相当額=3×37%
  5. 1株当たりの純資産価額=(1-4)÷発行済株式数

1の"相続税評価額による純資産価額"

  • 各資産は、原則として、相続税法と財産評価基本通達に基づいて評価します。そのため、繰延資産や前払費用が貸借対照表に計上されていても、財産性がないため評価しません。反対に、借地権は貸借対照表に計上されていなくても、財産価値があるため、資産の一つとして評価します。
  • 各資産の中に、評価会社が相続開始時点から3年以内に取得又は新築をした、土地・土地の上に存する権利・家屋・附属設備・構築物があるときは、これらの資産の相続税評価額は相続開始時点における通常の取引価額に相当する金額によって評価します。また、これらの資産の帳簿価額が相続開始時点における通常の取引価額に相当すると認められるときは、帳簿価額に相当する金額によって評価することができます。
  • 各資産の中に、「接している道路と高低差のある土地」や「傾斜のある土地」があるときは、宅地造成費控除を適用して評価します。 
  • 各資産の中に、取引相場のない株式等があるときは、評価差額に対する法人税額等を控除しないで評価します。
  • 各負債は、原則として、貸借対照表上の記載金額です。ただし、貸借対照表上に貸倒引当金や賞与引当金等があるときは、これらの負債は考慮しません。また、評価会社に次の金額があるときは、各負債の合計に含めます。
  1. 相続開始時点で未払いになっていた法人税等の金額
  2. 相続開始時点で未払いになっていた固定資産税の金額
  3. 被相続人の遺族に支払われた死亡退職金(弔慰金を除く)
  4. 相続開始時点を含む事業年度の法人税等や消費税等の内、その事業年度の期首から相続開始時点までの期間に対応する金額

2の"帳簿価額による純資産価額"

  • 各資産の帳簿価額は、原則として、貸借対照表の記載金額です。ただし、繰延資産や前払費用は、財産性がないため評価しません。
  • 各負債は、原則として、貸借対照表上の記載金額です。ただし、貸借対照表上に貸倒引当金や賞与引当金等があるときは、これらの負債は考慮しません。また、評価会社に次の金額があるときは、各負債の合計に含めます。
  1. 相続開始時点で未払いになっていた法人税等の金額
  2. 相続開始時点で未払いになっていた固定資産税の金額
  3. 被相続人の遺族に支払われた死亡退職金(弔慰金を除く)
  4. 相続開始時点を含む事業年度の法人税等や消費税等の内、その事業年度の期首から相続開始時点までの期間に対応する金額

5の"発行済株式数"

  • 発行済株式数は、直前期末時点ではなく、相続開始時点において評価会社が発行していた株式総数を使います。
  • 自己株式があるときは、自己株式の株数を控除します。
  • 実際の株数を使います。1株当たりの資本金等の額が50円であると仮定をして算定した株数ではありません。

どの時点の貸借対照表を使うのか

 

1株当たりの純資産価額の計算は、評価会社の相続開始時点における資産・負債の金額によることになっています。

 

ただし、評価会社が相続開始時点において仮決算を行っておらず、かつ、前期期末から相続開始時点までの間において資産・負債に著しい増減がないケースでは、前期期末における資産・負債を基として計算することが認められています(「取引相場のない株式(出資)の評価明細書の記載方法等」より)。

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